「自分って、1日でいくら売り上げてるんだろう?」
理学療法士として働いていて、ふと考えたことはありませんか?
毎日リハビリに追われていると意外と意識しませんが、私たちの仕事は1単位ごとに診療報酬・介護報酬というかたちで「売上」を生んでいます。
この記事では、病院・クリニック・訪問リハの3つの職場を経験した私が、自分の実際の働き方(単位数・訪問件数)をもとに、1日の売上を計算してみました。最後には「売上と給料はなぜ違うのか」という、ちょっと生々しい話もします。
📌 この記事で分かること
- PT1人が1日に生み出す売上(病院・クリニック・訪問の実例)
- 「単位」と診療報酬の仕組み(2026年時点)
- 売上と給料がイコールにならない理由
まず結論:PT1人の売上は1日約3.3万〜5.5万円だった
私の実体験ベースの概算で、売上は
病院=約3.3万円/日、クリニック=約3.9万円/日、訪問リハ=約4.9〜5.5万円/日。
年間にすると約800万〜1,200万円超の売上を、PT1人が生み出しています。
意外じゃないですか? そして勘のいい人は気づいたはずです。売上がいちばん高いのは、私の年収がいちばん下がった訪問リハなんです。この謎は記事の後半で解き明かします。
前提:リハビリの「単位」と売上の仕組み
まず前提の整理です。医療保険のリハビリは20分=1単位として診療報酬が決まっています。
整形外科分野で算定する「運動器リハビリテーション料(Ⅰ)」は1単位185点=1,850円(1点=10円)。2026年度の診療報酬改定でも、この点数は据え置かれています。
つまり、私たちが患者さんと向き合う20分は、1,850円の売上ということ。ここを基準に、私の3つの職場で計算していきます。
※お断り:この記事の金額は、運動器リハ(Ⅰ)185点・1単位=1,850円で計算した2026年7月時点の概算です。施設基準(ⅡやⅢの施設もあります)・加算・地域単価によって実際の額は変わります。また、ここで扱うのはあくまで「売上」であって「利益」ではありません。最新の点数は厚生労働省などの公式情報でご確認ください。
【病院編】1日18単位=約3.3万円
私が新卒で入った整形外科のケアミックス病院では、「1日18単位」がノルマとして明確に示されていました。
18単位 × 1,850円 = 33,300円/日
月20日勤務なら約67万円、年間では約800万円の売上
当時の私の年収は、8年半働いて約440万円。自分が生む売上の半分ほどが年収だった計算になります。
【クリニック編】1日21単位=約3.9万円
次の整形外科クリニックでは、明確なノルマはありませんでした。でも患者数が多く、実質1日21単位ほど取っていました。
21単位 × 1,850円 = 38,850円/日
月20日勤務なら約78万円、年間では約930万円の売上
ちなみに21単位=420分。1日7時間、ほぼ休みなく患者さんと向き合い続けるということです。「ノルマがない職場」でも、実態はノルマがある病院よりハードでした。数字にすると、あの頃の忙しさの正体がよく分かります(笑)。
【訪問リハ編】1日7〜8件=約4.9万〜5.5万円
今の訪問リハ(訪問看護ステーション)は、介護保険の「訪問看護Ⅰ5」で算定するのが中心です。仕組みは医療保険と少し違います。
- 20分=294単位(1単位≒10円。地域により10〜11.4円)
- 40分の訪問=2回分で588単位(約5,900円)
- 60分の訪問=3回分ですが、1日3回以上は90/100に減算され約795単位(約8,000円)
私の実際の稼働は、1日5〜6時間で7〜8件。40分と60分の利用者さんが半々くらいです。計算すると——
40分×3〜4件 + 60分×4件 = 約49,000〜55,000円/日
月20日勤務なら約100万〜110万円、年間では約1,200万円超の売上
3つの職場の中で、売上がいちばん高いのは訪問リハでした。正直、計算してみて私も驚きました。
売上がいちばん高い訪問リハで、なぜ私の年収は下がったのか
ここで冒頭の謎です。訪問リハに転職した私の年収は、1年目に80万円下がりました。売上は過去最高なのに、です。
理由を考えると、「売上=給料」にならない構造が見えてきます。
- 売上には事業所の運営コストが含まれる:事務スタッフや管理者の人件費、事務所の家賃、車両代、営業活動費——全部この売上から出ています
- 毎日満枠で回れるわけではない:訪問はキャンセルや空き時間などのムラがあります。計算上の「満枠」がそのまま続くわけではありません
- 転職直後は担当が少ない:担当利用者さんが増えるまで、個人の売上自体が伸びません。私の1年目はまさにこれでした
実際、私の職場の給与はある程度が固定給で、月の訪問時間が一定ラインを超えるとインセンティブが付く仕組みです。担当が増えた2年目、年収が450万円まで持ち直したのは、まさに売上と給料が連動し始めたからです。
⚠ ポイント:訪問リハは「個人の売上」と「給料」の距離が近い働き方です。だからこそ、面接では給与体系(固定給か、インセンティブの条件はどこからか)を必ず確認してください。同じ売上でも、手元に残る額は事業所でまったく違います。
この数字を知っておく意味
「売上を計算して何になるの?」と思うかもしれません。でも私は、すべてのPTが一度は自分の売上を計算してみるべきだと思っています。理由は3つです。
① 自分の市場価値を数字で語れる
「私は年間約900万円の売上を生んでいます」——この視点があるだけで、給与交渉や転職面接での説得力が変わります。感覚ではなく数字で自分の働きを把握している人は、強いです。
② 求人の給与が「高いか安いか」判断できる
売上の相場を知っていれば、提示された給与が売上に対してどのくらいの水準か、自分で見積もれるようになります。「なんとなく年収が高い職場」ではなく「構造的に還元率が高い職場」を選べるようになるのです。
③ 働きすぎに気づける
クリニック時代の私のように、「ノルマがないのに実質21単位」という状態は、数字にして初めて異常さが分かります。自分の売上と待遇のバランスがあまりに崩れているなら、それは環境を見直すサインかもしれません。
まとめ
PT1人の売上は1日約3.3万〜5.5万円、年間約800万〜1,200万円超。売上と給料は別物だが、自分の売上を知っておくと、給与交渉も職場選びも「数字で」判断できるようになる。
私自身、この計算をしてみて「自分の働きは決して安くない」と自信を持てるようになりました。年収の実額がどう変わってきたかは、別記事でくわしく書いています。売上とあわせて読むと、理学療法士のお金の全体像が見えてくるはずです。
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