「インソール(足底板)って、本当に効くの?」
「理学療法士がインソールを作るってどういうこと?」
私は理学療法士として、新卒で入った病院でインソール作成を学び、13年間この技術と付き合ってきました。数ある治療手段の中でも、インソールは私がとくに魅力を感じてきた分野です。
この記事では、なぜ私がインソールに惹かれたのか、そして運動療法とどう違うのかを、理学療法士や学生さんにも、膝や足の痛みで悩む一般の方にも分かるようにお話しします。
📌 この記事で分かること
- 理学療法士がインソールに惹かれる理由
- 運動療法とインソールの「効果の持続時間」の違い
- PT・学生へ、そして痛みで悩む方へ伝えたいこと
まず結論:インソールは「効果が持続する」のが最大の魅力
運動療法の効果は限られた時間のもの。でもインソールは、靴を履いている間ずっと足を支え続けてくれます。
この「持続性」こそ、私がインソールに惹かれた理由です。
私がインソールに惹かれた、意外なきっかけ
正直に告白すると、きっかけは大学のたった一コマの授業でした。有名な先生が講義をしてくれたのですが、その授業が良かったかどうかは、実はあまり覚えていません(笑)。
でも、そのとき頭に残った「ある考え方」が、私の進路を変えました。それはこういうことです。
理学療法士が行う運動療法は、基本的に1回20分。その場では効果があっても、長期的にずっと効き続けるかというと、正直そうとは限りません。
一方、インソールは、靴を履いている間じゅう、ずっと足を支え続けてくれる。同じ「体を良くする」でも、効果が働いている時間がまるで違う。「これは効率がいいぞ」——そう思ったのです。
格好いいきっかけではないかもしれません。でも、この「持続時間」への着目は、13年経った今も私のインソール観の芯になっています。
運動療法とインソールの違い ―「点」と「線」
誤解してほしくないのですが、これは「運動療法が劣っている」という話ではありません。両者は役割が違う、補い合う関係です。
- 運動療法:セラピストが関わる20分の中で、体の使い方を変えたり、機能を引き出したりする。いわば「点」の集中的なアプローチ
- インソール:日常生活で靴を履いている間ずっと、足の土台を支え続ける。いわば「線」の継続的なアプローチ
運動療法で引き出した良い状態を、インソールが日常生活の中で支え続ける。この2つが噛み合うと、リハビリの効果はぐっと安定します。だからこそ私は、運動療法だけでなくインソールという引き出しも持っておきたかったのです。
実際に「効くんだ」と実感した場面
学生時代は理屈で惹かれたインソールですが、現場で作るようになって、その手応えを何度も実感しました。
いちばん印象的なのは、歩くときに膝の痛みがあった方が、インソールを入れたら楽に歩けるようになったケースです。ご本人の表情が明るくなるのを見ると、こちらまで嬉しくなります。
また、歩き方(歩容)が目に見えて変わることもあります。足の土台が整うと、そこから上の膝・股関節・体幹の動きまで変わっていく。足元一つで全身が変わるのを目の当たりにすると、あらためて「足は体の土台なんだ」と実感します。
⚠ 大切な注意:効果には個人差があります。痛みの原因は人によってさまざまで、インソールが合うケースもあれば、別のアプローチが必要なケースもあります。自己判断せず、医師や理学療法士などの専門家に相談したうえで作成・使用することが大切です。(本記事は2026年時点の一PTの経験に基づく内容です)
【PT・学生の方へ】インソールは強力な「武器」になる
理学療法士や、これから資格を目指す学生さんに伝えたいのは、インソールという引き出しを持つと、PTとしての幅が大きく広がるということです。
運動療法だけでは、関われる時間に限りがあります。でもインソールという「持続する介入」を組み合わせられると、患者さんの生活そのものを支えられる。アプローチの選択肢が増えることは、そのままセラピストとしての強みになります。
ちなみに私は、この技術を学べることを新卒の職場選びの決め手の一つにしました。その話は新卒理学療法士の職場の選び方に書いています。学べる技術で職場を選ぶ、という視点の参考になれば嬉しいです。
【痛みで悩む方へ】我慢せず、専門家に相談を
膝や足、腰の痛みを「歳のせいだから」「そのうち治るから」と我慢していませんか?
もちろん、すべてがインソールで解決するわけではありません。でも、足の土台を整えることで、痛みが軽くなったり、歩きやすくなったりする可能性はあります。私自身、そういう変化を何度も見てきました。
大切なのは、自己流で市販品を選ぶ前に、一度専門家に診てもらうことです。あなたの足や痛みの原因に合ったものでなければ、効果は期待しにくいからです。整形外科や、インソールを扱っている理学療法士のいる施設に相談してみてください。
まとめ
インソールの最大の魅力は「効果が持続する」こと。運動療法(点)とインソール(線)は補い合う関係。PTには強力な武器になり、痛みで悩む方には選択肢の一つになる。ただし効果には個人差があるので、必ず専門家に相談を。
たった一コマの授業から始まった私のインソールへの興味は、13年経った今も続いています。運動療法とインソール、その両方を大切にできるのが、理学療法士という仕事の面白さだと感じています。
私がなぜこの技術を学べる病院を新卒で選び、どんなキャリアを歩んできたのか——その全体像は別記事にまとめています。あわせて読んでみてください。
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