訪問リハビリで困ったこと6つ|現役PTがどう対処しているか正直に書きます

転職体験談

「訪問リハビリって、実際どんなことで困るんだろう?」

求人票にも転職サイトにも、ここは書いてありません。良いことばかり並んでいるのが普通です。

私は訪問看護ステーションで訪問リハビリに従事しています。この記事では、実際に困っていることを6つ挙げ、それぞれどう対処しているかを正直に書きます。

※お断り:利用者さんに関わる内容のため、個別の事例は一切書きません。年齢・性別・疾患・ご家庭の事情など、特定の方が推測できる情報は含めず、困りごとの「型」と対処法だけをお伝えします。

📌 この記事で分かること

  • 訪問リハで実際に困る6つのこと
  • それぞれ、どう対処しているか
  • 困ったときに共通する2つの原則

まず結論:一人で抱え込まないこと

訪問リハは一人で利用者さんのお宅に伺う仕事です。だからこそ、その場で全部解決しようとしないことが大事でした。
困りごとは、持ち帰ってケアマネさんや上司と共有する。これが基本です。

【一覧】困ることと、その対処

困ること 私の対処
話を聞いてもらえない/要求が多い まずは受け入れ、あとで共有する
やる気が出ない/拒否される できそうなことから始める
家族と本人の希望が違う 本人の意思を尊重し、共有する
室内環境がつらい 正直、我慢しています
スペースが狭い その環境でできることを探す
話が終わらず時間が押す 「次があるので」と伝えて切り上げる

① 話を聞いてもらえない/提案を受け入れてもらえない/要求が多い

こちらが良かれと思って提案しても、受け入れてもらえないことがあります。逆に、リハビリの範囲を超えた要求をされることもあります。

私の対処:まず受け入れて、あとで共有する

その場では、基本的に本人やご家族の言うとおりにします。訪問先はあくまで相手の生活の場であり、そこで言い合いをしても良いことはありません。

そのうえで、あとでケアマネさんや上司に報告します。

ここが大事なところです。一人で「どうしよう」と抱え込むと、次の訪問がどんどん重くなります。チームの問題として扱えば、自分だけの問題ではなくなります。

② やる気が出ない/拒否される

リハビリそのものを拒否されたり、気持ちが乗らない様子だったりすることもあります。

私の対処:できそうなことから始める

いきなり本題に入らず、まずは「これならできそう」と思ってもらえることを探します。できた、という感覚があると、少しずつ気持ちが変わってきます。

そして関係性ができてきてから、少しずつやれそうなことを提案していく。順番が逆だとうまくいきません。

先に関係を作る。正しい提案は、そのあと——これは訪問に移ってから、強く意識するようになりました。

③ 家族と本人の希望が違う/家族から過度な期待をされる

在宅では、ご家族の存在が大きくなります。「もっと歩けるようにしてほしい」というご家族の願いと、本人の気持ちが一致しないこともあります。

私の対処:本人の意思を尊重する

迷ったときの基準は決めています。最終的には、本人の意思を尊重することです。

そのうえで、ご家族・ケアマネさん・上司に状況を共有します。自分一人で板挟みになって決めるのではなく、関係者全員で方向を確認していきます。

💡 在宅は「利用者さんファースト」:病院では医師の治療方針が軸になりますが、在宅ではリハビリの方向性が本人の意向に大きく左右されます。この違いに戸惑う人は多いと思います。くわしくはクリニックから訪問リハビリへ転職した体験談に書きました。

④ 室内環境がつらい

ここは正直に書きます。

夏の暑さ、冬の寒さ、ペット、カビ、におい——訪問先の環境は、こちらで選べません。

私の対処:我慢しています

対処法と呼べるものはありません。正直に言うと、我慢です。

相手の生活の場にお邪魔している以上、「暑いので冷房を」と気軽には言えません。そこで暮らしている方にとっては、それが日常なのですから。

訪問リハを検討している人には、ここは知っておいてほしいと思います。きれいなリハビリ室で働くのとは、まったく違います。

⚠ ただし、無理はしないでください:体調に影響が出るレベルの環境(強い暑さ・受動喫煙・アレルギーなど)であれば、我慢せずに事業所へ相談してください。訪問の体制を見直してもらえることもあります。健康を損なってまで続けるものではありません。

⑤ スペースが狭い

広いリハビリ室はありません。平行棒もありません。布団と家具のあいだの、わずかな空間で行うこともあります。

私の対処:その環境でできることを探す

「狭いからできない」ではなく、この環境でできることは何かを考えます。

むしろ、その狭い空間こそが、その人が毎日生活している場所です。そこで動けるようになることに意味がある——そう考えると、工夫のしがいがあります。

⑥ 本人・ご家族の話が終わらず、時間が押す

これは訪問リハならではの悩みです。

病院なら、次の患者さんが待っているので自然に切り上がります。でも訪問は相手のお宅にいるので、話が続くと切り出しづらい。そして遅れは、そのまま次の訪問に響きます。

私の対処:「次があるので」と伝えて切り上げる

シンプルですが、これに尽きます。「次があるので」と伝えて、理解してもらって退散する。

申し訳なく感じることもありますが、ここで押してしまうと、次に伺うお宅に迷惑がかかります。遅れは自分だけの問題ではない——そう考えるようにしています。

訪問リハの1日がどれくらいタイトなスケジュールかは、こちらの記事を見ていただくと分かると思います。

困ったときに共通する、2つの原則

6つの対処を並べてみると、共通していることが2つありました。

原則1:本人の意思を尊重する

迷ったときは、ここに戻ります。在宅は、その人の生活の場です。主役は利用者さんであって、私ではありません。

原則2:一人で解決しようとしない

訪問は一人で伺う仕事です。だからこそ、その場で全部背負わないことが大事でした。

持ち帰って、ケアマネさんや上司に共有する。それだけで、同じ出来事が「自分の失敗」から「チームで考えること」に変わります。

これから訪問リハで働く人には、この2つだけでも持っていってほしいと思います。

それでも、訪問リハを選んでいます

ここまで困りごとばかり書きましたが、私はこの働き方に納得しています。

暑い部屋も、狭い空間も、思うように進まない日も——それは全部、その人が実際に生活している現実です。病院のリハビリ室では、決して見えなかったものです。

大変さを知ったうえで選ぶなら、訪問リハはとても良い仕事だと思います。

まとめ

訪問リハで困るのは、関係づくり・家族との調整・室内環境・狭いスペース・時間管理。対処の軸は「本人の意思を尊重する」と「一人で解決しようとせず、ケアマネや上司に共有する」の2つ。環境のつらさは正直、我慢している部分もある。

訪問リハは、きれいな面だけを見て入ると必ずギャップがあります。でも大変な部分まで知ったうえで入れば、続けられる仕事です。

もし今「辞めたい」と感じているなら、それが職場に対するものなのか仕事そのものに対するものなのかを、一度整理してみてください。その話はこちらの記事に書きました。

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